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再鑑賞。
ジョゼの頑なさと諦観が、普通の男の普通のずるさに逃げられる恒夫と対比して切ない。
数年ぶりに観ても、ジョゼがキッチンの踏み台から降りる時の不格好な音が悲しいのではなく、明日も明後日もこの音と生きていくことを受け入れるしかないジョゼが悲しいし逞しいのだと思う。
天才的頭脳とデジタルツールと組織力を投入してグローバルにカンニングを企てるお話。テンポ良く展開していき、クライマックスの手に汗握るスリリングさもよかった。
大人としては、お父さんの「実際に勉強を教えようとは考えなかったのか」がド正論だし、全面的に同意なのだけど、子どもの狭さと必死さに覚えがないわけでもなく、主人公たちの経済的に恵まれない状況もあって、単純に切って捨てられないなと感じさせられる。
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- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/04/01
- メディア: 文庫
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結構なドロドロっぷりなのに低体温な登場人物達が好ましい。
静かに生きたい気持ちになった。