美し過ぎて泣けた。


臨死経験を持つ主人公イーノックと余命の僅かな少女アナベラ、
そして特攻隊として既に命を失っている幽霊ヒロシ。
過去に限りなく死に近づいた者と
現在進行形で死に近づいている者と
既に死んだ者の物語。
3人の対照が鮮やかだった。


率直に言えば、イーノックは子ども過ぎる。
彼の死へのアプローチは、自分が死の中にいないことを確認する
作業に見えたし、そんな彼が現実の別離への恐怖から目を背ける姿は
心中密かにブーイングものだった笑。
だけどイーノックが子どもだったからこそ、アナベラもヒロシも
彼を愛して気遣わずにはいられなかったのだろうし、
彼の幼さがあるからこそ、観客は例えばヒロシの存在や、
アナベルの血色の良さと言った物語のファンタジー
受け入れることが出来るのだろう。
そしてこの作品の美しさとノスタルジーは彼の子どもじみた態度を
抜きには語れない。


やや緩慢に思えるほど丁寧に登場人物のやり取りを描いていて、
そこに心が洗われました。
心残りは、空気感が何かに似ていると思ったのだけど
その何かが思い出せないことだよ。うーん。